訳あり物件と言われたが、どれのことか
訳あり物件に法律上の定義はありません。呼ばれているものは五つに分かれ、それぞれ別の法令が根拠です。事故物件は国土交通省のガイドライン、再建築不可は建築基準法、共有は民法、借地権は借地借家法、空き家は空家法です。
人が亡くなった物件
告知が要るかどうかは、国土交通省のガイドラインに表で整理されています。
三年という数字は賃貸借取引の欄のものです。 売買の欄は別に作られています。詳しくは事故物件の告知義務で扱います。
「取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告げる必要/原則として、告げなくてもよい。事案発生からの経過時間 3年」
建て替えられない物件
根拠は建築基準法です。
接道の義務があり、これを満たさないと建て替えられません。道路の定義と、許可による例外もあります。詳しくは再建築不可物件とはで扱います。
「建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。(第四十三条第一項)」
ほかの人と分け合っている物件
根拠は民法です。
持分に応じて全部を使えるという条文です。何をするかで必要な同意が変わり、抜けたいときは分割の請求ができます。共有持分とはと共有物の分割で扱います。
「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。(第二百四十九条第一項)」
土地を借りて建てている物件
根拠は借地借家法です。
地上権か賃借権かで譲渡の扱いが変わり、いつ設定された契約かで適用される法律も変わります。借地権とはと地上権か賃借権かで扱います。
「借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。(第二条第一号)」
誰も住んでいない物件
根拠は空家等対策の推進に関する特別措置法です。
放置すると特定空家等に当たる可能性があり、勧告を受けると税の扱いが変わります。空き家を売るか迷っているで扱います。
「この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。(第二条第二項)」
重なっていることが多い
相続した実家が、誰も住んでおらず、兄弟の共有で、前の道が狭い。こういう形で複数に当たることがあります。その場合は根拠の法令も複数です。ひとつ解決しても、別の制約が残ります。
売る前に登記の期限もあります。相続した不動産には三年以内に申請する義務があり、これは物件の種類と関係なくかかります。
このサイトが扱わないこと
個別の税額計算、相続の可否や分割方法、訴訟や調停の見通し、特定物件の査定額は扱いません。税理士、弁護士、司法書士、宅地建物取引業者にご確認ください。
引用した条文とガイドラインは、二千二十六年九月二十一日に原文を取得したものです。
あなたの状況ではどうするか
- 仲介業者に訳ありだと言われたが、理由を聞いていない
- 先に理由を聞いてください。五つのどれかで、確かめる先も次の一手も変わります。法律上の定義がある言葉ではないので、この言葉のままでは何も決まりません。
- 相続した実家が空き家になっている
- 空家法と、相続登記の三年の期限の両方がかかります。さらに兄弟との共有なら民法も、借地なら借地借家法も重なります。ひとつずつ確かめてください。
- 前の道が狭いと言われた
- 建築基準法の接道義務の話です。道路の定義と、幅員四メートル未満の道の扱い、許可による例外が条文にあります。再建築不可物件とはで扱っています。
- 人が亡くなったことを伝えるべきか迷っている
- 賃貸か売買かで整理が違います。そして問われた場合は、経過期間や死因に関わらず告げる必要があるとガイドラインに書かれています。
- 複数に当てはまっている
- 根拠の法令がそれぞれ別なので、まとめて一人に聞いても答えが出ないことがあります。登記は司法書士、争いは弁護士、税は税理士、取引は宅地建物取引業者です。
このページの根拠
- 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(概要)」2026-09-21取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)」2026-09-21取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治二十九年法律第八十九号)」2026-09-21取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)」2026-09-21取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「借地借家法(平成三年法律第九十号)」2026-09-21取得