空き家を売るかどうかを決める
売るか持ち続けるかの分かれ目に、税の扱いが変わる段階があります。空家法の指導ではなく勧告を受けると、その敷地は地方税法の住宅用地から除かれます。課税標準を価格の三分の一とする扱いが外れます。
まず「空家等」の定義
使っていない状態が常態であることが要件です。
「この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいう。(第二条第一項)」
危険な状態だと「特定空家等」になる
区分が上がると扱いが変わります。
「この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。(第二条第二項)」
その手前に「管理不全空家等」がある
令和五年の改正で、特定空家等になる手前の区分ができました。
つまり、倒壊しそうになるまで待たずに指導が入る仕組みです。
「市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、…必要な措置をとるよう指導をすることができる。(第十三条第一項)」
指導で改善しなければ勧告
管理不全空家等の場合です。
「市町村長は、前項の規定による指導をした場合において、なお当該管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、当該指導をした者に対し、修繕、立木竹の伐採その他の…必要な具体的な措置について勧告することができる。(第十三条第二項)」
特定空家等でも勧告がある
こちらは助言・指導のあとです。
「市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。(第二十二条第二項)」
勧告に従わなければ命令
さらに先があります。
「市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。(第二十二条第三項)」
勧告が税の扱いを変える
ここが見つけにくい場所です。地方税法の条文の括弧書きに書かれています。
勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地が、括弧の中で「住宅用地」から除かれています。 住宅用地は課税標準を価格の三分の一とする扱いなので、除かれれば前提が変わります。指導の段階では除かれません。勧告の前か後かが分かれ目です。
「専ら人の居住の用に供する家屋…の敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(…並びに空家等対策の推進に関する特別措置法第十三条第二項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第十三条第一項に規定する管理不全空家等及び同法第二十二条第二項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第二条第二項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。…「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、…当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の三分の一の額とする。(第三百四十九条の三の二第一項)」
このサイトが扱わないこと
税額がいくらになるかは扱いません。 小規模住宅用地の別の扱い、負担調整、都市計画税など他の要素があります。税理士または市町村の資産税担当にご確認ください。
相続した空き家を売る場合の登記は相続した不動産を売るで扱っています。
個別の空き家がどの区分に当たるかを判断するのは市町村長です。売却価格への影響、相続の扱いも扱いません。引用した条文は、e-Gov法令検索から二千二十六年九月二十一日に取得した現行法令です。
あなたの状況ではどうするか
- まだ何も言われていない
- いまが一番動きやすい段階です。指導も勧告も受けていなければ、住宅用地から除かれる条件には当たりません。売る、貸す、解体する、管理を頼む。どれを選ぶにしても、条件が悪くなる前に決められます。
- 市町村から指導を受けた
- 指導の段階では、地方税法の括弧書きに挙げられている「勧告がされた」には当たりません。改善するか売るかを、勧告の前に決めてください。
- 勧告を受けた
- 地方税法は、勧告を受けた敷地を住宅用地から除いています。税額の見通しは市町村の資産税担当に確認してください。改善して勧告が解かれるかどうかも、担当窓口に聞くことになります。
- 遠方に住んでいて、様子が分からない
- 空家法の区分は建物の状態で決まります。まず現況を確かめてください。管理を頼むか、売るか、解体するかの判断材料は現況です。
- 解体すべきか迷っている
- 解体すると建物が無くなるので、住宅用地としての扱いもその年の賦課期日の状況で変わります。順番と時期で結果が変わるため、市町村の資産税担当に先に確認してください。このサイトでは税額を扱いません。
このページの根拠
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)」2026-09-21取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)」2026-09-21取得