くらべどき

知っていたことを告げずに売ったら

調査・確認:くらべどき最終確認日:2026年9月21日

民法には、担保責任を負わない旨の特約をしていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れることができないという条文があります。買主の通知は原則として一年の期間制限がありますが、売主が引渡しの時に知っていた場合には、この制限は働きません。

まず、買主が何を請求できるか

契約の内容に適合しない物を引き渡した場合の条文です。

修補、代替物、不足分。これが基本の請求です。

「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。(第五百六十二条第一項)」
e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治二十九年法律第八十九号)」2026-09-21に取得

それだけでは終わらない

続く条文に、別の請求が妨げられないと書かれています。

損害賠償と、契約の解除です。

「前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。(第五百六十四条)」
e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治二十九年法律第八十九号)」2026-09-21に取得

買主には期間の制限がある。ただし例外がある

請求できる期間の条文です。

ただし書が効きます。売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この限りでない。 つまり知っていて黙っていた売主には、この期間制限が働きません。

「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。(第五百六十六条)」
e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治二十九年法律第八十九号)」2026-09-21に取得

免責特約を入れても、免れない部分がある

いちばん効く条文です。

知りながら告げなかった事実について、責任を免れることができない。 契約書に担保責任を負わないと書いても、知っていて黙っていたことはその外にあります。

「売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。(第五百七十二条)」
e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治二十九年法律第八十九号)」2026-09-21に取得

仲介業者に課されている禁止は、別の法律

宅地建物取引業法にも定めがあります。

ただしこれは宅地建物取引業者の行為を禁止する条文で、売主本人にかかるものではありません。 売主の責任は民法の側です。両者を混ぜないでください。

「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し…次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為(第四十七条第一号)」
e-Gov法令検索(デジタル庁)「宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)」2026-09-21に取得

人の死については、別に基準がある

何を告げるべきかの整理は、国土交通省のガイドラインにあります。

経過期間や死因による整理がありますが、問われた場合は別です。事故物件の告知義務で扱います。

「上記の整理に関わらず、①買主・借主から事案の有無について問われた場合、②その社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等には、事案の発覚から経過した期間や死因に関わらず、告げる必要がある。」
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(概要)」2026-09-21に取得

このサイトが扱わないこと

保険の告知義務違反は扱いません。別の法律の話です。また、個別の事案で責任が認められるか、いくら支払うことになるか、訴訟の見通しも扱いません。弁護士にご確認ください。

引用した条文とガイドラインは、二千二十六年九月二十一日に原文を取得したものです。

あなたの状況ではどうするか

契約書に担保責任を負わないと書けば安心だと言われた
条文には例外があります。知りながら告げなかった事実については、その特約があっても責任を免れることができないと書かれています。特約の範囲を弁護士に確かめてください。
引渡しから一年以上経ったから大丈夫だと思っている
期間の起算は引渡しではなく、買主が不適合を知った時からです。さらに売主が引渡しの時に知っていた場合は、この期間制限が働きません。
仲介業者に任せているから自分は関係ないと思っている
宅地建物取引業法の禁止は業者の行為に向けられたものです。売主自身の責任は民法の側にあり、業者に任せても消えません。
雨漏りや傾きを知っている
知っている事実を契約書にどう書くかを、宅地建物取引業者と相談してください。書いてあれば契約の内容になります。黙っていた場合に免責特約が効かない条文があります。
保険の告知義務違反を調べている
このページは不動産の売買の話です。保険は別の法律なので、保険会社または保険の専門家にご確認ください。

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