解雇と残業代の費用
労働事件では、同じ事務所が労働者側と使用者側の両方を扱うことはありません。掲載6件のうち労働を取扱いとして書いているのは4件で、労働者側が3件、使用者側が1件です。着手金は解雇事件で16万5千円から、残業代の交渉で最低報酬30万円という表示でした。
労働者側か使用者側かで、事務所が分かれます
労働事件では、同じ事務所が労働者側と会社側の両方を引き受けることはありません。利益が対立するからです。だから探すときは、費用の前に立場を確かめます。
| 事務所 | 労働事件の立場 | 公開している着手金 |
|---|---|---|
| 上本町総合法律事務所 | 労働者側(代表弁護士・池田直樹の経歴ページに「労働事件(不当解雇など労働者側)」と明記。事務所の主要業務一覧には労働問題は掲載なし) | 公式サイトに記載なし |
| 旬報法律事務所 | 労働者側(トップページに「旬報法律事務所は労働者の側に立った労働問題解決のエキスパートです」、事務所紹介に「特に労働者や労働組合の立場で労働問題に取り組んで参りました」と明記) | 解雇事件の着手金は最低16万5千円(税込) |
| たちばな総合法律事務所 | 使用者側(企業法務内の「団体交渉対応」ページに「代理権のある弁護士なら、会社側の代理人として交渉に同席」と明記) | 公式サイトに記載なし |
| 難波みなみ法律事務所 | 労働者側(弁護士費用ページの見出しが「労働問題(労働者側)」) | 残業代請求と不当解雇(労働者側)の交渉は最低報酬30万円と消費税 |
公式サイトの記載をそのまま写しています。立場が事務所のトップページに書かれている場合と、代表弁護士の経歴のページにだけ書かれている場合がありました。予約のときに確かめてください。
回収できる額と費用を、先に並べる
残業代の請求は、請求できる額をある程度計算できる事件です。だから依頼する前に次の3つを並べられます。
- 請求できそうな額。タイムカードや業務記録から、未払いの時間を見積もる
- 着手金と報酬金の合計。着手金は結果が出なくても返りません
- 手続きの段階。交渉、労働審判、訴訟の順に費用が上がります
1が2を下回るなら、弁護士に頼む形では手元に残りません。その場合に取れる道は、無料の相談窓口で助言を受けて自分で請求する、労働組合に相談する、請求する範囲を絞る、のいずれかになります。
2008年のアンケートでの回答
日弁連の2008年度アンケートでは、勤続10年・月給30万円で懲戒解雇を受け、地位保全の仮処分を申し立てて職場復帰を実現した事案について、着手金は20万円が45%、30万円が31%でした。報酬金は30万円が36%、50万円が31%です。金額に消費税は含まれていません。
冊子には「労働審判の手続によるときには、これより低い金額になる傾向があります」という注記があります。残業代だけを扱った設問は、確認できた要約版には入っていませんでした。
無料で相談できる窓口があります
都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーは、予約不要で無料です。解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど労働問題全般が対象で、労働者からも事業主からも相談を受けます。個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づき、助言・指導やあっせんの案内もあります。
厚生労働省が2026年7月7日に公表した令和7年度の施行状況では、総合労働相談件数は1,198,010件で、18年連続で100万件を超えています。いじめ・嫌がらせの相談は55,614件で14年連続の最多です。
弁護士費用を払えない場合の立替えは法テラスの条件にあります。会社を辞めること自体を誰かに伝えてもらう形については退職代行の費用にあります。