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外壁タイル補修くらべ 見積もりのどこを見るかが分かります

理事会で説明できる状態を作る

マンションの管理組合とビルオーナーが押さえるのは3点。 ①数量は足場を組んだ全面打診まで確定しない。だから実数精算の単価を先に決めます。 ②12条点検の全面打診と補修の足場は共用できる。別々に発注すると足場代を2回払うことになります。 ③工法の理由を聞く。浮きが層のどこで起きているのか。浮き=全面張替えではありません。この3点を理事会の資料に入れておくと、追加費用が出たときに「想定内の実務」として扱えます。

次の理事会までに何をするか

タイルが1枚落ちた段階でやることは、補修の手配ではありません。順番があります。

  1. 落ちた場所の下を通れないようにする。コーンとバーでかまいません。 2枚目が落ちる前提で考えます。ここは理事長の判断で、その日にできること
  2. 管理会社に、調査の見積もりを出してもらう。補修の見積もりではありません。「どこがどれだけ浮いているか」を調べる費用です。ここで全面打診か部分打診か、足場を使うのかロープなのかを必ず聞いてください
  3. 同じ内容で、外の会社にも調査の見積もりを頼む。管理会社が悪いという話ではありません。金額が妥当かどうかは、他と並べないと分からないからです。都道府県ごとの一覧から自分の建物に来る会社を選びます
  4. 長期修繕計画のどこに入っているかを確認する。国交省のガイドラインでは、タイル張補修は外壁塗装等の中に置かれ、周期は12〜15年。次の大規模修繕が近いなら、足場を1回で済ませられます
  5. 理事会に、調査の見積もりを2社ぶん出す。この段階の議案は「補修をするか」ではなく「調査をするか」です。金額が小さいので話が進みます

調査はいくらかかるのか

理事会で最初に聞かれるのは「で、いくら」です。 補修の金額はこの段階では出ません。ただ、いま決めるのは調査なので、桁は示せます。

掲載社で調査費用の実例を公開しているのはジェブの1社だけ。赤外線ドローンによる外壁調査の実例3件が、延床1,659〜3,563㎡で概算83万〜178万円でした。面積で割ると延床1㎡あたり、およそ500円

この単価を当てはめると、延床3,000㎡の建物なら ドローンの赤外線調査で150万円前後という見当になります。足場を組む全面打診なら、これより高くなります。

1社の公開実例からの概算で、相場ではありません。建物の形・階数・調査方法で変わります。この数字は桁の見当としてだけ使い、理事会には必ず実際の見積もりを出してください。 延床面積あたりの単価であって、外壁面積あたりではない点にも気をつけてください。

管理会社に任せていいのか

任せていい部分と、任せてはいけない部分があります。 手配と工程の管理は任せていい。理事は本業がある人なので、そこを自分でやる必要はありません。 任せてはいけないのは、単価と数量の取り決めです。 実際に払う額はここで決まり、あとから変えられません。

お金を動かすには総会の決議が要ります。修繕積立金の取り崩しは総会の決議事項。決議の重さは工事の中身で変わります。もとのタイルに戻す修繕なら通常の決議で足りますが、外観が変わるような共用部分の形状または効用の著しい変更にあたる場合は、区分所有者と議決権の各4分の3以上の特別決議が要ります。 自分のマンションの管理規約で、どちらに当たるかを先に確かめてください。 工法を選ぶ前に確かめておけば、あとで議案を作り直さずに済みます。

決議の区分は建物の区分所有等に関する法律と、各マンションの管理規約によります。周期は国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」ほかの公開資料から。具体の議案の作り方は、管理会社かマンション管理士に確認してください。

落ちて人に当たったら、誰が払うのか

民法第717条は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と定めています。ただし書きで、占有者が損害の発生を防ぐのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償します。外壁タイルはこの「工作物」にあたります。

マンションにはもう一段あります。建物の区分所有等に関する法律第9条は 「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」。外壁は共用部分なので、賠償はまず管理組合、つまり区分所有者全員のほうを向きます。

つまり「浮きは見つかったが、予算の都合で来期に」という決議は、 その1期ぶんのリスクを全員で引き受ける決議でもあります。先送りするなら、落下防止ネットや立入制限のような当座の措置を同じ議案に入れてください。議事録に「見つけたが何もしなかった」だけが残る形にしない。

条文の出典はe-Gov法令検索(2026年8月23日時点)。実際の事案で誰が責任を負うかは事情によって変わります。争いになりそうなら弁護士に相談してください。

実際にあった相談

発注前のチェック

  • 見積もりの数量の根拠は、部分打診か全面打診か。赤外線やドローンを併用したか
  • 実数精算の単価(注入1箇所・ピンニング1㎡あたり)が契約書に書いてあるか
  • 数量が概算の何倍を超えたら再協議になるのか
  • 工法を選んだ理由。張替えの提案に、廃番と色違いの説明が付いているか
  • 足場は12条点検・防水・塗装と共用できる計画か
  • 建設業許可・保証・協会会員の確認

時期の組み立て

まず自分の建物が定期報告の対象かを確かめてください。対象は自治体が指定しています。対象なら、築10年を超えた最初の定期調査で全面打診等が要ります(12条点検)。大規模修繕の周期と重なるなら、調査 → 数量の確定 → 補修を同じ足場で通すのがいちばん安く済みます。点検の期限が先に来るなら、点検をドローンの赤外線で済ませて足場を組まない選択もあります。

雨だれの跡と白い析出物が残るタイル外壁
写真は生成したイメージです。雨だれや白い析出(エフロレッセンス)は水の通り道のしるし。浮きと一緒に見てもらう項目です

掲載している8社

2026年8月23日に確認。並びは社名の50音順です。

社名に添えたのは、公式サイトに対応エリアの記載がある社はその記載、無い社は拠点からの推定です。推定の社には、来てもらえるかを最初に聞いてください。工法・調査方法・保証は8社の比較表で項目ごとに見られます。

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