ヒビがあると車検に通らないのか
保安基準に「ヒビ何cmまで」という数値の線はありません。条文が求めているのは「損傷した場合においても運転者の視野を確保できる」ことと「容易に貫通されない」ことの2つです(道路運送車両の保安基準第29条・細目告示第195条、2026年8月23日に原文確認)。
数値がないぶん、判断は検査する側に委ねられます。運転席の視野にかかるヒビは小さくても通らないものとして、早めに直すのが実務です。
割れたまま走ると何が起きるか
車検の日まで待てばいい、という話ではありません。道路交通法第62条は、装置が保安基準に適合しないため「交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等」を運転させたり運転したりしてはならないと定めています。整備不良車両の運転そのものが禁じられているわけです。
重いのはその先。道路運送車両法第54条は、地方運輸局長が使用者に整備を命じることができるとし、第2項で「自動車の使用者が前項の規定による命令又は指示に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止することができる」としています。車検の不合格より手前に、走れなくなる筋道があります。
それでも、慌てて一番高い店に駆け込む必要はありません。 リペアで済むかを見て、済まないなら交換の見積もりを2〜3社で取る。その間、視野にかかるヒビなら運転を控える。順番はこれで足ります。
今夜どうするか
とはいえ、明日どうしても乗らないといけない人はいます。線を引きます。
- 運転席の前で、見ていて気になる位置にある。ここは走らないほうがいい線です。検査で落ちるだけでなく、実際に視界を邪魔します。代車、レンタカー、公共交通を先に当たってください
- 助手席側や、ワイパーの拭き取り範囲の外にある。すぐ走れなくなるわけではありません。ただしヒビは振動と温度差で伸びます。その日のうちに店へ電話するのが前提です
- どちらでも、応急処置はする。傷の上から透明なテープを貼って、水とゴミが入らないようにします。水が入るとリペアの成功率が下がります。デフロスターの熱風を直接当てない、洗車機に入れない、段差をゆっくり通る。この3つでヒビの伸びる速さが変わります
反則の区分と金額は、整備不良のどこに当たるかで変わります。条文が数値で線を引いていない以上、ここで「◯点・◯円」と書くことはできません。 金額よりも、視界と、伸びる速さで決めてください。
条文の出典はe-Gov法令検索(2026年8月23日時点)。
条文はこう書いている
自動車(最高速度40キロメートル毎時未満の自動車を除く。)の前面ガラスは、損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであり、かつ、容易に貫通されないものとして、強度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。(保安基準 第29条第2項)
一 損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであること。
二 容易に貫通されないものであること。(細目告示 第195条第2項)
細目告示はあわせて、運転者が交通状況を確認するために必要な範囲の可視光線透過率が70%以上であることを求めています。ヒビの補修痕やフィルムがこの範囲にかかるときも、同じところで見られます。
「何cmまで通った」という話をどう読むか
「20cmのヒビで車検に通った」という体験談は実在します。数値の線がないので、 視野にかかっていない損傷なら通ることがあるからです。ただしそれはその検査場のその日の判断で、同じヒビが別の場所で通る保証はありません。確実なのはリペアで済むうちに直すほう。リペアの跡は補修として扱われ、実例でも車検に通っています。
出典
- 道路運送車両の保安基準 第29条(窓ガラス)のPDF(2026年8月23日に原文確認)
- 保安基準の細目を定める告示 第195条(窓ガラス)のPDF(同)
実額を公開している3社
2026年8月23日確認。
並びは確認できた最低価格の安い順。ここに出ているのはその社でいちばん安いプランの額で、あなたの車の値段ではありません。ジャパンオートガラスの48,400円も カローラ120系(2000〜2006年式)の輸入社外品という条件つきで、車種ごとに別の料金表があります。 12社の比較表も見られます。