探偵業法で決まっていること
探偵業は都道府県の公安委員会への届出が要る営業です。届出をしていない者は法律上の探偵業者ではありません。事務所には契約前の書面交付と説明、秘密の保持が義務づけられています。ただし届出は営業の手続きで、調査の質を示すものではありません。
探偵業務とは何か
探偵業法2条1項は探偵業務を、他人の依頼を受けて特定の人の所在または行動の情報を集めることを目的として、面接による聞込み・尾行・張込みその他これらに類する方法で実地に調査し、その結果を依頼者に報告する業務と定義しています。同条2項は、報道機関が専ら報道の目的で行う調査を除いています。
届出と、番号の意味
営業を始める前日までに、営業所ごとに、所在地を管轄する都道府県の公安委員会へ届け出ます(同法4条1項)。窓口は所轄の警察署長を経由します。廃止と変更の届出は10日以内です。警視庁の資料では、開始・変更・廃止のいずれも届出手数料は「なし」と明記されています。
各社が掲げる「探偵業届出証明番号」は、同法12条2項の標識に記載される届出の受理番号です。条文そのものに「証明書」という語はありません。行政が交付する書面の呼び名と、法律上の呼び名が違うだけで、番号は同じものを指します。標識は営業所の見やすい場所に掲示し、ウェブサイトでも公衆の閲覧に供することが定められています。
警察庁の統計では、探偵業の届出数(営業所数)は令和7年末で7,354件、前年より256件増えています。うち個人が5,293件、法人が2,061件です。
届出があっても許されないこと
同法6条は、探偵業者等が「他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではない」と定め、人の生活の平穏を害するなど個人の権利利益を侵害しないようにしなければならないとしています。届出は営業の届出で、特別な権限を与えるものではありません。
警視庁は具体例として、調査対象者を見張るために付近住民宅の敷地へ許可なく入れば住居侵入罪等が成立すると書いています。届出のある事務所でも、無い個人でも、ここは同じです。
契約の前後にもらえる書面
| いつ | 条文 | 中身 |
|---|---|---|
| 契約前 | 8条1項 | 商号、届出をした公安委員会の名称、個人情報保護に関する事項、秘密の保持、提供できる業務の内容、委託に関する事項、対価の概算額と支払時期、解除に関する事項、資料の処分に関する事項の9項目 |
| 契約前 | 7条 | 依頼者から、調査結果を犯罪行為や違法な差別的取扱いなど違法な行為のために用いない旨を示す書面を受け取る |
| 契約後 | 8条2項 | 担当者の氏名と契約日、調査の内容と期間と方法、報告の方法と期限、委託の定め、対価の額と支払時期と方法、解除の定め、資料の処分の定めの8項目 |
7条の書面は、依頼者が事務所に差し出すものです。求められたら渡すことになります。逆に8条の書面は、事務所が依頼者に渡すものです。もらえないまま契約を進める必要はありません。
秘密の保持と、資料の扱い
同法10条は、業務に従事する者が正当な理由なく業務上知った秘密を漏らしてはならないと定め、退職後も同じとしています。作成し取得した資料(電磁的記録を含む)の不正な利用を防ぐ措置も義務です。同法9条は、調査結果が犯罪等に用いられると知った場合に業務を行ってはならないこと、探偵業者以外への再委託を禁じることを定めています。
罰則
- 営業停止命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(17条)
- 無届の営業、名義貸し、指示違反は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(18条)
- 届出書への虚偽記載、8条の書面の不交付や不備、名簿の不備、報告の拒否は30万円以下の罰金(19条)
- 探偵業者でない者が標識や類似の標識を掲げた場合は20万円以下の罰金(20条)
大阪には別の届出制度もあります
大阪府には、探偵業法の届出とは別に「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」に基づく届出制度があります。担当は大阪府警ではなく大阪府の人権局で、根拠となる規定も別です。大阪の事務所について「届出」の話をするときは、どちらの制度かを分けて読んでください。
大阪府警の探偵業の届出手続きのページは、検索に出てくる複数のURLがいずれもトップページへ転送され、必要書類と窓口を確認できませんでした。大阪の届出手数料も確認できていません。確認していないことは調べ方にあります。